ストーマ装具の貼り方

ストーマ装具を密着させる

ストーマ装具を貼るときに大切なのは、ストーマ装具と皮膚の間に隙間をつくらないよう密着させることです。ストーマ装具と皮膚の間にすき間があると、すき間を通って排泄物が漏れたり面板の粘着力が弱まる原因になります。排泄物が直接肌に触れると、肌荒れの原因にもなりますので、面板を密着させることは、ストーマの周りの皮膚を守ることでもあります。
このページでは、ストーマ装具を貼る時のポイントや、ストーマ装具とお腹の密着をサポートするストーマケア製品をご紹介いたします。

装具交換の手順（消化器系ストーマの場合）
ストーマ装具の装着は1分49秒～です。

ストーマ装具の交換手順

①ストーマ装具を剥がす
ストーマ装具は、粘着剥離剤を使って取り外します。
面板の一端をめくり、はがすきっかけを作ります。ストーマ装具と皮膚の間に粘着剥離剤をなじませるようにつけ、皮膚が面板に引っ張られないように手で押さえながら少しずつはがします。

②ストーマ周囲の皮膚を洗浄する
ストーマ装具を外したら、ストーマ周囲の皮膚を洗浄します。
洗浄料の成分は、お肌への刺激が低い弱酸性のものがおすすめです。ストーマ周囲に付着している便が広がらないように、外側から内側に向けて皮膚を洗浄していきます。
水を使わずに拭き取るだけで洗浄できる洗浄料は、お部屋やベッドの上でストーマ装具を交換する時に、周囲を濡らさずに洗浄することができて便利です。

③新しく貼る装具を準備する
フリーカットのストーマ装具を使用されている方は、面板の穴をご自身のストーマサイズに合わせてカットしておきます。

④ストーマ装具を貼る
ストーマ周囲の皮膚を洗浄した後は、水分をしっかりと拭き取り、皮膚が乾いていることを確認します。ストーマ装具の面板部分のはくり紙を剥がし、貼る部分にしわが寄らないように皮膚を伸ばして貼ります。

面板を貼る時のポイント

面板をしっかりと密着させるポイントは、最初にストーマの周りをしっかり押さえることです。ストーマの周りをしっかり密着させてから、外周に向かって空気を抜くように押さえていきます。最後に全体を手のひらで軽く押さえて、5分程度しっかりと温めるのが良いとされています。ドライヤーなどを使って高温で温めてはいけませんので、注意してください。

面板が密着しにくい時は？

冬場など気温が低い時は、面板が固くなり密着しにくくなることがあります。そんな時は、面板を手のひらで挟み少し温めてから貼ると、面板が柔らかくなって肌に密着しやすくなります。
別の方法としては、体温程度の温かいお湯をタオルに含ませてビニール袋に入れ、面板に押し当てて温める方法もあります。面板は濡らさないようご注意ください。

面板の貼り付きを補助したい時

面板の周りがめくれたり、汗や水分で面板の周囲がふやける場合は、面板の周囲にテープやフィルム素材の薄いシートをはって、面板の貼り付きを補助することもできます。

固定テープ

テープ付きの面板

ストーマ装具には、面板の一部がテープになっている製品もあります。テープの粘着力によって面板の貼り付きを補強するものですが、肌の弱い方はテープによる刺激で肌がかぶれてしまうこともあります。ストーマ装具を変更する場合は、病院やストーマの専門外来である「ストーマ外来」に相談してから行うようにしましょう。

テープ付面板

全面皮膚保護剤の面板

皮膚保護剤のテープ

肌の弱い方は、皮膚保護剤を素材としたテープを使うと、皮膚を保護しながら固定することができます。皮膚保護剤のテープは、面板と皮膚の両方を覆うように面板外周に貼り付けます。皮膚の状態を保ちながら固定できるため、皮膚への負担が少なくなります。

お風呂やシャワーでの防水

水泳やスポーツをする時、お風呂にしっかり浸かりたい時などは、防水テープやストーマ装具用の入浴用品を使うと便利です。面板の外周に貼って防水するテープや、パウチ全体を覆って防水する入浴シートなど、用途に合わせて選ぶことができます。

しわやくぼみがある場合は？

ストーマ装具を貼り付ける部分にしわやくぼみがあり、すき間ができてしまう場合は、隙間を埋めるための皮膚保護剤を使います。
しわに合わせて形を作って隙間を埋めたり、ストーマの周囲がくぼんでいる場合は、面板の孔の周りに高さを加えることでより密着するよう調整します。

ストーマ装具から漏れてしまう時

ストーマ装具の貼り方を工夫したり、テープで面板を固定しても、面板の下から排泄物が漏れたり、皮膚が荒れたりといったトラブルが起こることがあるかもしれません。トラブルが発生する原因は、体の変化や環境の変化などいろいろな要因が考えられ、ずっと順調にストーマ装具を使っていた方が、ある日突然漏れるようになることもあります。トラブルが発生したら、早めに病院やストーマの専門外来である「ストーマ外来」に相談しましょう。

皮膚保護剤

密着を高める皮膚保護剤
 隙間を埋める皮膚保護シール
 皮膚保護ペースト

密着を高める皮膚保護剤

面板の開口部の周りに貼って高さを作ることで、ストーマ近接部にしっかり密着して隙間を埋めます。ストーマに高さがない場合やストーマの周囲がくぼんでいる場合に、面板をより密着させるために使われます。
必要な分だけ手でちぎって使うこともできます。リング状や板状のウエハー、スティック状のものがあり、用途に合ったものをお使い頂けます。

隙間を埋める皮膚保護シール

形を自由に変えられる皮膚保護剤で、指先で揉むと柔らかくなり、しわやくぼみに合わせて形をつくることができます。ストーマ装具と皮膚の隙間を埋め、面板の密着度を高めます。

皮膚保護ペースト

ペースト状で柔らかく、チューブから絞り出して使います。ストーマ装具と皮膚の隙間を埋め、面板の密着度を高めます。

アルコール含有	アルコールを含まない
アルコールが蒸発すると固くなりますので、チューブから出した後、数分待ち、アルコールを飛ばしてから貼付けます。・アダプト皮膚保護ペースト・ソフトペースト・プロケアーペースト・バリケアペースト	アルコール含有製品にくらべて肌への刺激が少なく、固さは変わりません。・ブラバ　ペースト・プロケアーMFパテ

パウダー状皮膚保護剤

ストーマパウダーとも呼ばれるパウダー状の皮膚保護剤は、面板を貼る皮膚が荒れて浸出液などが出ている場合に、水分を吸収するために使います。面板は皮膚の上に水分があると密着が弱くなりますので、パウダーに水分を吸収させた後、余分なパウダーを除いてから面板を貼ります。
また、ストーマと面板の開口部の間の皮膚が排泄物に接触して肌荒れが発生しないよう、ストーマと面板の開口部の隙間にふりかけて皮膚を保護するためにも使います。

退院の時にあるといいもの

病院を退院すると、自宅や施設でのストーマケアが始まります。退院する時には、ストーマ装具と一緒に、ストーマ装具を交換する時に使うケア用品も準備しておくと、スムーズにストーマケアをっ始められます。
ストーマの装具交換では、ストーマ装具を取り外すための粘着剥離剤、ストーマの周りを洗浄するための洗浄料や清拭のためのガーゼなどを使用します。
衣類を固定しておくものやパウチを捨てるための処理袋などはあると便利です。